進む、ひざ軟骨を再生する新技術!
高齢の女性に多く発症するといわれる変形性膝関節症。その原因の一つに、ひざ関節の内部にある軟骨がすり減ることにあります。軽いうちはリハビリや患部の温め、ヒアルロン酸注入など、比較的簡単な処置で済みますが、重症化すると人工関節手術などの大掛かりな処置が必要になることも。そんな中、ひざ軟骨を再生する新技術が近年注目を集めています。
ひざ軟骨の培養で軟骨再生が実現
- 出典:[apital 朝日新聞の医療サイト]
- 軟骨シートの研究は、ニュースでも取り上げられています
現在、抽出したひざ軟骨を培養してシート状にしたものを、欠損したひざ軟骨に移植する再生手術の研究が進められています。まずは患者さんの軟骨の一部を抽出して培養。その培養した軟骨を細胞シートにして、すり減った軟骨部分にあてがい、軟骨の再生を促すという方法です。 自分の軟骨成分だけでなく、他の人の身体から採取したもので細胞シートを作る方法も検討されており、免疫反応が起きないよう臨床研究が進められています。 自分の軟骨成分を使用する細胞シートの移植手術については、国に対して先進医療の申請が行われる見通しです。認定されれば、2年後には、保険診療としてこの再生医療が受けられる可能性があります。
肩の治療も
こういった新治療が進んでいるのは、何もひざだけではありません。例えば、肩に痛みが起きる腱板損傷(けんばんそんしょう)という病気があります。肩を動かす腱が切れてしまうと、縫い合わせる必要がありますが、その際、幹細胞を一緒に注入すると効果が高まるといわれています。このように、幹細胞は体の様々な部位において、その修復のために利用されはじめているのです。
iPS細胞からも軟骨細胞が再生する?!
近々、幹細胞の一種である「iPS細胞」と呼ばれる人工的に作られた細胞を、ひざ軟骨の再生に利用できる可能性が高まってきました。iPS細胞といえば、京都大学教授の山中伸弥教授が世界で初めて作製し、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞したことは、まだ記憶に新しいことです。
かつてはむずかしいとされていましたが、添加物を加えることでiPS細胞が軟骨細胞に分化させられることが判明。京都大学のiPS細胞研究所ではすでに研究が進んでいます。まもなく臨床研究にも着手される見通しです。
このように、ひざ軟骨の再生医療の技術は、日に日に進化し、研究が進められています。
- 知恵まとめ
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- ひざ関節の軟骨を再生する医療の研究が進んでいる
- ひざ軟骨を培養して作ったシートを移植する治療法の効果が研究で認められている
- iPS細胞でもひざ軟骨の再生が可能に。最新技術の研究が進められている