なぜ関節はポキポキ音が鳴るのか
- 音が鳴ったときに関節内に空洞ができているのがMRI画像からも分かる
- 出典:[PLOS]
膝だけにとどまらず、関節が鳴る理由については、数十年前から科学者の間で様々な説が唱えられてきました。1947年のイギリスの医師たちの仮説は、関節が急に引き離された結果、関節の動きを滑らかにしている液体の圧力が低くなり、気泡のような空洞が作られるからではないかというものです。しかしその後は、1971年に行われたイギリスの大学の研究では、関節にあった空気が素早く弾けることで音が鳴るのではないかという説が有力視されてきました。 ただ、これはあくまでも推測……。そこで2015年、カナダの研究者が、すべての関節の指をいつでも鳴らすことができるカイロプラクターの指を使って、再びこの秘密に挑みました。そして、彼が指を鳴らすと一時的に関節内(滑液内)に空洞ができていることを発見。1947年に立てられた仮説がおおむね正しかったことが判明しました。 関節を鳴らすことの良し悪しについては、ダメージを与えるだけのエネルギーを持ってはいるが、長期的な悪影響は認められないとのことでした。つまり、良いとも悪いとも言い難いよう。正しい答えが導かれるまでには時間がかかりそうです。
ひざの関節から音がするのは病気の信号!?
ひざ関節の音は加齢や一時的な原因の場合も
膝を曲げたときに鳴る関節の音に関しても、痛みを伴わなければあまり心配しなくても大丈夫のようです。なぜなら、さきほどの研究内容とおなじ仕組みで起こるものと考えられるからです。これらは、加齢や何らかの一時的な原因で起こるものもあり、しばらく経つと音も自然に消えてしまうケースもあります。 ただし、歩いたり走ったりしているときなどに頻繁に膝の音が鳴ったら要注意! 変形性膝関節症の可能性があります。変形性膝関節症とは、ひざ関節の軟骨がすり減り、関節炎による痛みや変形が起こる病気。変形性膝関節症の初期には、関節軟骨の表面がすり減り、滑らかさがなくなることでコキコキという音が起きますが、必ずしも痛みがあるわけではないのです。痛みがなくても膝関節の音が頻繁に鳴る場合は、早めに病院を受診したほうが良いでしょう。
ひざ関節から音がして痛みを伴う場合
ひざの関節の曲げ伸ばしで音が鳴って、なおかつ痛みを伴う場合は病気の可能性も! ひざ関節が加齢によって老化するなどして、軟骨が大きくすり減っていることで音が発生している可能性もあるのです。その中で中高年に一番多い病気もまた、変形性膝関節症なのです。
さらに、階段を上り下りしているときに膝の音が鳴り、さらに痛みを感じているときは変形性膝関節症が進行していると考えられます。変形性膝関節症は、パキパキ、ミシミシとなどと音がしたり、膝を曲げたり歩き始めなどに痛みを感じるのが特徴です。そのまま放置せずに、すぐに整形外科を受診しましょう。
- 知恵まとめ
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- 関節の音が鳴るのは関節内に空洞ができるから
- 関節の音を鳴らすのがNGという確証はない
- ひざ関節が頻繁に鳴ったり痛みを伴ったら病気の可能性あり