幹細胞とは?
幹細胞とは、次の2つの性質がある細胞のことをいいます。 その2つとは、自分の細胞と同じ細胞を、自ら増やし続けることができる「自己複製能」と、さまざまな組織の細胞に自らを変化させることができる「多分化能」です。
通常、幹細胞は複製を続けており、周囲の状況が変わったり、何か刺激が加わったりすると、途端にさまざまな細胞に変化します。こんな風に、自分で自分を増やすことができ、さらに他の細胞になり変わることができるとは、なかなかすごい細胞といえそうです。
幹細胞を使った治療には2種類ある
この幹細胞がすごいのは、それだけではありません。幹細胞はありとあらゆる成長因子や液体成分を放出するという性質も持っているのです。成長因子とは、細胞が成長したり活性化したりするのを助ける物質のこと。つまり、幹細胞から放出されるものは、他の細胞にとって何らかの役に立つというわけです。
これらの幹細胞の性質から、幹細胞を使ったものとして2種類の治療法が存在しています。それは、幹細胞そのものを使う治療法と、幹細胞から出る液体成分を使う治療法です。
変形性膝関節症の新たな治療法として
昨今、ひざの痛みの代表的な病気の一つである変形性膝関節症の治療法として、自分の骨髄から取り出した幹細胞を使って、損なわれた軟骨部分に注入する方法が登場しました。骨髄の幹細胞が、その多分化能によって、軟骨細胞に変化するのです。 こちら、まだ実験段階ですが、将来、安全で確実な治療法になる可能性もあります。もし今、ひざ関節の痛みに悩まされている方も、この新しい治療法によって、ひざが痛くなる前のように、普通に散歩をしたり、旅行に行ったりする生活に戻ることができる日が訪れるかもしれません。
幹細胞というすごい細胞がもたらす画期的な最新の治療法。ぜひ今後もその研究の動きを追っていきたいものですね。
- 知恵まとめ
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- 幹細胞とは、自分で自分の細胞を増やす能力と他の細胞に変わる能力がある
- 幹細胞を用いた治療法には、幹細胞そのものを使うものと、幹細胞から放出されるものを使うものとがある
- 幹細胞をひざ関節の軟骨に注入する手術が実験で成功した