えっ!? ひざの関節軟骨を培養すれば治療に使えるって本当?|変形性膝関節症コラム

2015.06.01

えっ!? ひざの関節軟骨を培養すれば治療に使えるって本当?

今、あらゆる分野で、再生医療が行われていることは、よくテレビや新聞などのニュースで目にします。さまざまな再生医療が行われていますが、今回はひざ関節の軟骨を再生する治療を取り上げてみましょう。

損傷した軟骨の再生医療

軟骨培養

ひざ関節の軟骨が損傷する「膝関節軟骨損傷」は、ひざ関節の骨と骨の表面にある軟骨に傷がついたり、欠けたりすることで、ひざをスムーズに動かすことができなくなったり、痛みや炎症が起きたりする病気です。ときには、関節内に水がたまることも。軟骨は一度損傷すると修復しないといわれているため、根本的な治療はなかなかむずかしいとされてきました。 そこで登場したのが、軟骨の再生医療です。研究が進められ、再生不可能と思われていた軟骨が、変性してしまうのを防ぐ効果が期待できるようになったのです。

コラーゲンゲルで自家培養する

ひざの関節軟骨の再生とは、軟骨の細胞をコラーゲンゲルのようなゼリー状のもので培養して、組織を作り出す方法です。この軟骨培養に最適といわれているのが「アテロコラーゲン」と呼ばれるコラーゲンの一種です。すでに美容整形の分野でも使用されており、副作用が起きにくく安全性が高いといわれているものです。

培養した軟骨でどうやって治療するの?

ひざの軟骨の一部を採取して、アテロコラーゲンゲルで培養した軟骨細胞は、損傷した軟骨部分に合わせて切り出し、移植することで治療が行われます。ひざ軟骨に移植した培養軟骨が定着すれば、アテロコラーゲンはしだいに吸収され、溶けて無くなっていきます。

手術が行われた後、これまで歩くのにも困難をきたしていた人も、スポーツができるまでに回復したという事例もあります。

すでに、島根医大では、軟骨の自家培養施術が10人の患者に対して行われており、いずれも移植した軟骨は定着していることが確認されています。また、広島大学でも、保険適用になる前までに約130例も移植が実施されました。このように多数の研究・臨床実験が重ねられ、軟骨再生医療は2013年4月から保険が適用されるようになりました。

ひざの痛みで好きなところへ出かけたり、登山やウォーキングなど軽い運動を楽しんだりすることをあきらめていた人も、この再生医療によって可能性は大きく変化しています。 今後、ますます利用しやすく、より安全になるといいですね。

知恵まとめ
  • ひざの関節軟骨を培養して、損傷した部分に移植する治療がある
  • 軟骨培養に使うのはアテロコラーゲンゲルと呼ばれるゼリー状のもの
  • すでに保険適用になっており、歩行困難者もスポーツができるようになるまでに回復している
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