「ステロイド注射=副作用」は誤解? 変形性膝関節症の選択肢|変形性膝関節症コラム

「ステロイド注射=副作用」は誤解? 変形性膝関節症の選択肢

変形性膝関節症の治療法のひとつ、ステロイド注射。温存療法として広く整形外科で提供されている治療です。しかし副作用を気にされる方も少なくないのでは? そんな膝関節へのステロイド注射について解説します。

ステロイドとは?

ステロイド注射 副作用

よく耳にする治療法「ステロイド注射」ですが、一体なんなのか、実は知らない人も多いのではないでしょうか。
ステロイドとは、本来は体内で生成される副腎皮質ホルモンのひとつです。これと似た成分・作用になるよう人工的に合成した薬剤が、ステロイド注射に使用される薬剤になります。

ステロイド注射とヒアルロン酸注射との違い

ひざ関節の痛みを緩和する注射による治療で代表的なものと言えば、ステロイド注射とヒアルロン酸注射です。どちらも関節内注射による治療法ですが、違いは大きく分けてふたつ。使い方と頻度になります。整形外科医は検査や診察から得た情報で、どちらを提案するか選択しているのです。

ステロイドとヒアルロン酸の違い1:効果

ヒアルロン酸注射
ヒアルロン酸注射は、ひざ関節のクッション材としての目的が大きい治療

一つ目の違い、ステロイドやヒアルロン酸注射の使い方は、作用の違いに関係します。
以前ご紹介したコラム「ひざの痛みのポピュラーな治療法『ヒアルロン酸注入』をもっと知ろう」でも触れたように、ヒアルロン酸は関節のクッションでもある関節液に含まれている成分です。つまり、ひざ関節への衝撃を和らげ、痛みを緩和する効果が期待できます。変形性膝関節症の予備軍や、まだ軽度のケースで選択される治療法といえます。
一方、ステロイド注射には抗炎症・鎮痛作用に優れています。炎症が原因でひざに強い痛みがある場合や水が溜まってしまったケースなどでは、いくらヒアルロン酸を注射してもほとんど効果は得られません。こういった場合、ステロイド注射が有効とされています。

ステロイドとヒアルロン酸の違い2:治療頻度

副作用がないという安全面での安心感はあるのですが、ヒアルロン酸注射に長期的な効果は期待できません。種類によっても異なりますが、週1回を3〜5週にわたって継続するというのが一般的。効果があれば、その後2〜4週間に一度の頻度で注射します。 ステロイド注射は鎮痛効果が非常に高い反面、頻回な利用は副作用を引き起こすリスクを伴います。そのため、治療間隔や回数には医師の正しい判断が欠かせません。

ステロイド注射と副作用

ステロイド注射 薬害 副作用

ステロイド注射を医師から進められたとき、やはり上記のように副作用をまず心配される方は多いのではないでしょうか。その背景にあるのは、1980年代に問題となった「ステロイド薬害」。安価で高い効果が期待できるステロイド剤は当時、副作用の認識が十分でないまま頻回に使用されていました。その結果、重度の副作用に悩む患者が多発し、社会問題にまで発展しました。
その教訓もあり、現在は使用には細心の注意が払われるようになっていますが、「ステロイド=副作用が怖い」という当時のイメージが根強く残っているのです。

ステロイドの代表的な副作用とは?

副作用のリスクを熟知した医師が用法や用量を的確に判断すれば、「ステロイド薬害」のような重度の副作用の心配はありません。ただ、副作用のリスクがゼロとも言い切れないステロイド注射。代表的な副作用には、次の4つがあげられます。

ステロイド性膝関節症

ステロイドの副作用で誘発された軟骨の損傷や骨粗鬆症によるひざ関節症です。主にステロイドの直接的な影響によるものを指しますが、膝の痛みが緩和したことで無理をした結果、ひざ関節への大きな負担が引き起こすこともあります。

感染症

注射針などから細菌が入り込むことで感染を引き起こします。ヒアルロン酸注射でも同様のことは考えられますが、ステロイド剤の免疫を抑制する作用により、体内が感染症に弱い状態になっているため、確率が高まります(数千例に1件の割合と言われています)。ひざ関節への注射後、ひざの腫れや発熱が気になったら、早めに整形外科を受診しましょう。

精神障害

ステロイドサイコーシスという現象で、ステロイド注射を受けた数日後に気分が沈むなど、精神面でマイナスに働くことがあります。ただし、一過性で軽度のものが多く重症化するケースは少ないですが、場合により抗精神薬を使用することも。

糖尿病

ステロイドの投薬によって血糖値が上昇することが分かっています。糖尿病を患っている人の場合は悪化したり、それ以外の人でも糖尿病を発症することが稀にあります。そのため、ステロイド糖尿病と区別して呼ばれます。

正しく使用すれば副作用を回避できる

ステロイド注射の副作用については、3か月以上のスパンを開けて、年2回までの注射とした場合、副作用をほぼなくしたうえで高い効果が得られるという研究報告があるようで、欧米ではスタンダードな治療法となっています。
つまりステロイド注射で大切なのは、使用するべき症状かを見極めること、用法のルールを徹底することだと言えるでしょう。

知恵まとめ
  • ステロイド注射とヒアルロン酸注射は作用が異なる
  • ステロイドに根強い副作用のイメージは、ステロイド薬害の名残
  • 3ヶ月のスパン、年に2回までなら副作用がほぼないという報告も
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